話を聴き、子どもの声を聞き、静寂をきく
毎週土曜日には、戎野屋さんの八百屋で野菜や卵を買い、月に一度の「0縁マーケット」では、気に入って購入したものの使わずじまいのカゴなどをリユースしています。

平日は、時々「やまわけキッチン」でお弁当を買ってお昼ごはんにし、気が向けば少し歩いて「7棟集会所」へ出かけ、ドーナツやマフィンを買って自宅でおやつの時間を楽しんでいます。


そして時々、「DIYの家」に行って板を裁断をすることもあります。



茶山台団地には、いろんなおもしろいことがあります。
茶山台の音

茶山台団地に住んで3年と半年になります。夫と二人暮らしです。「一般社団法人善き隣人バンク」という団体に所属し、「傾聴」の仕事をしています。傾聴とは、簡単に言えば真摯な姿勢で相手の話を聴く技法のこと。在宅で、電話やオンラインを通してさまざまな方のお話を聴かせていただいています。

長年のご家族との生活の中で気持ちの行き場を失い、鬱屈感を抱えている方。上司との関係に悩み、常に怒りの感情を抱えている方。自身の精神症状と日々戦っている方。自分の信心していることが合っているのか確認したい方。世の中のことを正しく知りたいと願う思春期の方。そうした「話を聞いてほしい方々」の声に耳を傾け、話し相手となり、寄り添っています。
そんな私の仕事のルーティンは、朝一番にデスクに向かい、メールチェックとSNSの投稿をすることから始まります。

南西側の窓からは朝日が差し込み、子どもたちの登校する声、幼稚園バスのエンジン音や通勤途中の大人がダストシュートにごみを投げ入れる音、自転車の走る音などが聞こえてきます。
家の裏側は林になっているので、鳥の声も聞こえます。夏の蝉の大合唱は耳をつんざくほどの大音量です。冬になると、夕方に灯油の巡回販売のトラックがやって来て、ちょうど私の住む棟の前に停車します。「雪やこんこ」の音楽が大音量で流れるため、仕事の電話をしているときは窓から離れ、狭い家の中を右往左往することになります。
夜は、思っていた以上に静かです。最初は驚きました。
私の見守り隊活動
実は私は、以前は原山台団地に住んでいました。こちらの団地もとても住みやすく気に入っていましたが、茶山台団地のようなおもしろいイベントや暮らしのサポートなどはありませんでした。
ある日のこと、「空き住戸を総菜屋さんにリノベーション」「住民がDIYでカフェを作る」といったニュースをSNSを通して知り、それからというもの、茶山台団地の動向を双眼鏡でのぞいてチェックする毎日でした(笑)。着々と進む仕組み作りの様子を見るたびに、次に住むのは茶山台だな、と密かに将来を思い描いていました。

そして現在、私は晴れて茶山台団地に住んでいます。自治会に加わることは住人としてすべきことと思ってはいましたが、まずは団地に慣れることが先決と思い、2年間は申し込みを保留して新来者気分で過ごしました。
そんなある日、郵便受けに「見守り隊募集!」と書かれた自治会のボランティア募集のチラシが入っていました。見守り隊とは、地域のボランティアや保護者が中心となり、子どもたちの登下校時の安全を見守る組織・活動のことです。
そのチラシに書かれていた「在宅の方でもできるボランティアです」という言葉が、在宅で仕事をしている私の心にヒットしました。なにせ、見守り現場はうちの棟のすぐそばの横断歩道でしたから。これならできると思い、自治会に申し込みました。
こうして、私も見守り隊のお仲間に入れていただき、週に1回、登校時と下校時に旗を持って、団地の小学生の安全を見届けています。朝の登校時間には、中学生や高校生も通るので、そんなティーンたちと挨拶できることも嬉しいです。

「福祉」のある風景
私は成人してから長年福祉に関わる仕事をしてきましたが、実は“福祉”にあまり興味がありません。必要なときに参考書などから知識を得ることはしますが、よいおこないの代名詞になっているような“福祉”にはあまり魅力を感じません。
ふと福祉の語源を調べると、こう書いてありました。
福:幸福、さいわい、神からの恵み。
祉:幸福、足るを知る、健康。
この意味を知ったとき、私はとても温かい気持ちになりました。神からの恵みをいただき、足るを知る。過不足なく満ちた心は隣人に向き、声をかけ合うということが日常的に起こるのだと思います。
先日、見守り隊として横断歩道に立っていたら、向こうから高齢の紳士お二人がゆっくりこちらに向かって歩いて来られます。「茶山台ほけんしつ」での茶話会に参加された帰りのようでした。「これ(集まり)が楽しみなんや」と笑顔で帰って行かれました。
今年はこのあたりでもかなり雪が降りました。立春を過ぎた頃のある日の夜中3時頃、なんとなく目が覚めて外を眺めると、そこは静寂に包まれた雪景色でした。月が明るく、とても綺麗でした。

再度布団に入りましたが、7時頃には団地の子どもが外へ出て雪遊びをしている元気な声が聞こえてきました。
これからもこの団地で起こることに耳を澄まし、仕事もボランティア活動も自宅の部屋づくりも、じっくりと実感しながらやっていきたいと思います。
